為替のニュースは、株式情報と並んで目にする機会が多いと思います。グローバル化のなか、為替動向は我々の生活に密接に関係しており、株式相場にも大きな影響を与えます。今回は、ニュース等でよく聞く円高・円安という用語について、その意味や仕組みを紹介し、為替相場が動く理由や株式相場に与える影響などを分かりやすく解説
円高・円安とは
「円高」「円安」は、為替相場で使われる言葉で、外国通貨に対して日本の通貨である「円」が「高い」か「安い」かを表す表現です。円を外国通貨と交換するには、需給と供給の関係で変化する為替相場で交換比率が決められます。その交換比率の変動により、円高・円安の現象が起こります。
例えば日本円と米国の通貨「ドル」では、「円高・ドル安」、「円安・ドル高」などの表現があります。円が高ければ、交換されるドル(外国通貨)は相対的に安くなり、円が安ければ、ドル(外国通貨)は高くなる。為替相場では、円と外国通貨はシーソーの様な関係です。そのため「円高・ドル高」といったような、両方の通貨が同時に高くなったり、安くなったりというような表現は使われません。
例えば、1ドル=120円と1ドル=100円の状況を比べた時、1ドル=120円の方が1ドル=100円に比べて「円安」と表現します。一般的な日本語の感覚からすると、為替の世界の表現は、少し独特かもしれません。120と100の数字を比べると120の方が大きいのに「安い」と表現することに最初は違和感を感じるかもしれません。しかし、理屈が分かれば納得できると思いますので見ていきましょう。
円安とは
例えば昨日まで100円で買えた物が、今日は120円払わないと買えない状況です。
同じ物を手に入れるのに、多くの円を払わないといけない。
物が高くなっています。この物を1ドルに置き換えて考えてみれば良いのです。100円で1ドルもらえたのに、120円払わないと1ドルもらえない。
円から見ると、1ドルの価値が高くなっています。為替の世界では、円と外国通貨はシーソーの様な関係なので、ドルの価値が高いということは円の価値は低い、つまり、円安・ドル高となるわけです。
円安とは、外国通貨に対して円の価値が低くなっている状態なのです。
円高とは、
外国通貨に対して円の価値が高くなることです。
1ドル=120円と1ドル=100円では1ドル=100円の方が円高になります。120円で1ドルもらえるのと、100円で1ドルもらえるのを比べると、100円で1ドルもらえる方が円の価値が高いことになります。少ない円で多くのドルと交換できる状況を「円高・ドル安」と言います。
円高・円安の状況が頭の中で整理されるまでは、表現に騙されて少し混乱してしまうことがあるかもしれません。混乱するようであれば、最初のうちは割り切って、為替の表現は一般的な日本語の感覚とは逆なんだ、1ドル=100円が1ドル=120円と円の数字が大きくなったら、「円安」と覚えてしまうのも一つの手です。そのうち、すんなりと定着してきて理屈も頭で整理されると思います。
為替相場が動く理由とは
為替相場は、24時間取引が行われています。市場参加者も多種多様で、それぞれの目的をもって取引をしています。例えば、グローバル展開している企業、銀行や証券会社や保険会社などの金融機関、年金基金やヘッジファンドなどが市場参加者になります。
為替市場では、企業が輸出・輸入で使うための実需による取引から、金融機関やヘッジファンドなどによる投資や投機筋など取引目的も多岐に渡ります。
為替相場は、様々な要因で動く
例えば日本企業の米国への輸出が増えれば、ドルで受け取った代金を日本円に交換するため、ドルを売って円を買う取引が増え、円高・ドル安の傾向になります。外国人投資家が日本の株式を購入する量が増えれば、ドルを売って円を買う動きが強まります。
物価や金利の変動も為替相場に影響を与えます。2021年3月の為替相場では、米景気の回復期待を背景に日米の金利差が拡大し、円を売ってドルを買う動きが強まり円安・ドル高が進みました。一般的に、景気が改善し、金利が上昇した国の通貨は買われる傾向にあります。
国の経済や財政状況なども為替相場に影響を与えます。基本的には、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が良い国の通貨は高くなる傾向があります。
一方、財政赤字が深刻化すると、その国の国債を買おうとする投資家が減るし、その国に投資をしようとする企業も減るのでその国の通貨は売られる傾向があります。
この他にも、投機的な動きから為替相場が動いたり、各国政府や中央銀行が為替相場を安定させる目的で外国為替市場に市場介入することがあります。
この様に、円高・円安と為替相場が動くのは様々な事象が絡むため一概に一つの要因とは言えない。
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